モチベーション醸成~働き甲斐の設計
経営コンサルタントを名乗る実務のたたき上げ中年オヤジ(51歳)が、経営の原理原則を学ぶべくMBA(大学院)に通うことを決意し、日々の学びと気づきを不定期でつぶやきます。
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第21回目のテーマは・・・モチベーション醸成~働き甲斐の設計
前回のコラムでは、組織の中でミドル層が果たす役割について考えました。経営と現場をつなぐ存在として、組織の活力を左右する重要な立場です。 今回は、ミドルがサポートすることで、ヒトが成長するための要素として「モチベーション」「やりがい」「働き甲斐」の違いについて整理してみたいと思います。
モチベーション ― 行動を起こす前のエネルギー
企業経営において「社員のモチベーションをどう高めるか」という議論はよく行われます。しかし、モチベーションは本来、個人の内面に生まれる心理的エネルギーであり、状況や感情によって上下しやすい不安定なものです。心理学の自己決定理論(エドワード・デシ、リチャード・ライアン)では、人の動機は自律性・有能感・関係性といった条件に影響されるとされており、外側から直接コントロールすることは難しいと言われています。
つまり、個人のモチベーションが醸成されるような環境を整えることが、ミドルの最初の役割と言えるでしょうか。
やりがい ― 仕事の最中に生まれる没頭
一方で、仕事をしている最中に感じる「やりがい」は少し性質が異なります。これは自分の能力と仕事の難易度が適度に一致したときに生まれる感覚です。
心理学者チクセントミハイが提唱したフロー理論では、人は能力と挑戦のバランスが取れたときに強い没頭状態に入り、仕事そのものに楽しさや充実感を見いだすとされています。
つまり、やりがいとは「成長と挑戦の中で感じる充実感」と言えるでしょう。
働き甲斐 ― 行動の後に生まれる意味
さらにその先にあるのが「働き甲斐」です。働くとは、傍(はた)を楽(らく)にする が語源ともいわれますが、働き甲斐は仕事が終わった後に、 「自分の仕事が誰かの役に立った」「社会に価値を生んだ」と感じることで生まれます。
ハーズバーグの動機付け理論でも、承認や貢献の実感が仕事の満足感を高める重要な要素であるとされています。そこには自己承認だけでなく、他者からの評価や感謝といった関係性が深く関わっています。
モチベーション、やりがい、働き甲斐の関係性は以下の図のようにまとめてみました。
マネジメントの役割 ― 働き甲斐を設計する
このように整理すると、モチベーションは「行動前のエネルギー」、やりがいは「行動中の没頭」、働き甲斐は「行動後の意味」と捉えることができます。
多くの企業がモチベーションを高めようとしますが、実際にはそれを直接つくることは難しいものです。むしろ経営・ミドルの役割は、社員が挑戦できる仕事を確保し、誰かの役に立つ実感を得られる環境を整えることにあります。
人はまず自分のために働き(利己)、次に自分の成長のために働き(自利)、そしてやがて誰かや社会のために働く(利他)段階へと進んでいきます。モチベーションはその入口であり、やりがいは成長の過程で生まれる感覚です。そして働き甲斐とは、自分の仕事が他者に価値を生んでいると実感できたときに初めて生まれるものなのかも知れません。
だからこそ、これからのマネジメントに求められるのはモチベーションを上げることではなく、働き甲斐が生まれる仕事と組織環境を設計することではないでしょうか。
まずは、自社の仕事の中に、挑戦と言える事業があるのかから、見直してみてはいかがでしょうか?すべては経営者の未来・ビジョン次第です!
社長!本当に経営、できていますか?