組織デザインは、なぜ人数が増えるとうまく機能しなくなるのか
経営コンサルタントを名乗る実務のたたき上げ中年オヤジ(51歳)が、経営の原理原則を学ぶべくMBA(大学院)に通うことを決意し、日々の学びと気づきを不定期でつぶやきます。
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第19回目のテーマは・・・組織デザインは、なぜ人数が増えるとうまく機能しなくなるのか
前回は、中小企業に多い「職能型」「事業部型」「プロジェクト型」という3つの組織デザインについて、それぞれの特徴を整理しました。
どの組織形態にも正解・不正解はありません。
しかし実務では、「人数が増えただけなのに、急に会社が回らなくなった」との声があります。
これは経営力の低下ではなく、組織の前提条件が変わったことによって起きる必然的な現象です。今回は、そんな組織に関する人数について整理していきます。
1.10人の壁:全員が見えている組織
社員10人前後までの組織では、
- 誰が何をしているか
- 誰が忙しいか
- 誰が困っているか
が自然と把握できます。
この段階の組織は、関係性で回る組織ルールや制度よりも、社長の判断や暗黙の了解が機能します。
ただし、この強さは同時に弱さでもあります。
「察して動く」「言わなくてもわかる」という前提は、人数が増えた瞬間に通用しなくなるからです。
創業期や家族的経営に多い形態です。ルールが緩い分、自由度は高いですが属人的に陥りやすく、育成や教育などが進まないため、スケールしない要因となります。
2.30人の壁:「いい会社だったのに」の正体
30人前後になると、社長の視界から人がこぼれ始めます。
このとき多くの経営者が口にするのが、「昔はもっと一体感があった」という言葉です。
ここで起きているのは、人の問題ではなく、情報量と処理の問題です。
- 会話の総量
- 判断の回数
- 利害関係が指数関数的に増え、「全員で共有する」こと自体が非現実的になります。
この段階で必要なのは、 “気合”ではなく役割と分担です。
この理由は、人の認知限界が5〜6人程度にあるためです。
人は無意識に把握・配慮できる関係性がこの人数を超えると、情報は急激に粗くなり、「察する」「空気を読む」経営は成立しなくなります。
3.50人の壁:組織が壊れやすくなる理由
50人規模になると、組織は「人」ではなく構造で動く存在に変わり始めます。
ここで起きがちなのが、
- 指示が二重になる
- 責任の所在が曖昧になる
- 不満が陰で増殖する
つまり、組織の複雑性・多様性に対して構造が追いついていない状態です。
このフェーズで何も手を打たないと、 組織とヒトは「壊れる」のではなく、静かに摩耗していきます。
このフェーズで最優先すべきは、人を増やすことではなく、構造を明確化することです。
具体的には、
- 意思決定の起点を明確にする(誰が決め、誰が従うのか)
- 役割と責任の境界を線で引く(兼務前提でも曖昧にしない)
- 不満が表に出る機会を意図的につくる(対話の場の設計)
これらは制度改革ではなく、組織の最低限の設計と言えます。
4.100人の壁:組織は“生き物”として動き続ける必要がある
100人規模になると、組織は単なる人の集まりではなく、一つの生態系のような存在になります。
この段階では、
- 一部で起きた問題が別の部署に影響する
- 考え方や判断基準が部署ごとにズレてくる
- 社長の考えが現場まで届きにくくなる
といったことが起こりがちです。
だからこそ必要になるのが、人と考え方が会社の中を巡る仕組みです。
定期的に考え方を共有する研修や対話の場、部門をつなぎ、考えを現場の行動に落とすミドルの役割。
100人規模の組織は、管理で固めるよりも、
話し、学び、つなぎ続けることで活力を保つ組織なのです。
まとめ
人数が増えると組織運営が難しくなるのは、避けられません。それは失敗ではなく、成長の証です。
重要なのは、「昔のやり方に戻そう」とすることではなく、今の人数に合った前提に切り替えること。
次回は、この人数の壁を越えるために不可欠な存在、「ミドル(中間層)」の役割について掘り下げていきます。
まずは、自社がどうなりたいのかを明確にし、組織規模をどう設計するのか?
すべては経営者のビジョン次第です!
社長!本当に経営、できていますか?