壁を越えるために不可欠な存在|ミドル(中間層)が組織にもたらす本当の価値とは
経営コンサルタントを名乗る実務のたたき上げ中年オヤジ(51歳)が、経営の原理原則を学ぶべくMBA(大学院)に通うことを決意し、日々の学びと気づきを不定期でつぶやきます。
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第20回目のテーマは・・・組織の調整を司る、ミドル(中間層)の価値定義です。
前回は、中小企業の人数の壁について考えました。30人、50人、100人。多くの中小企業が、このあたりで同じ違和感に直面します。
売上は伸びている。人も増えている。それなのに、意思決定が遅くなり、現場の動きが鈍くなる。社長は忙しくなる一方で、「自分が現場に戻らないと回らない」と感じ始める。
この“人数の壁”は、制度や組織図を整えただけでは越えられません。その正体は、ミドル(中間層)の機能不全にあることがほとんどです。
ミドルが崩壊した組織で起きていること。
まず誤解されがちなのは、「ミドルが育っていない」「管理職の能力が低い」という見方です。実際には、ミドルが弱いのではなく、役割を失っているケースが多い。
ミドルが崩壊した組織では、次のような現象が起きます。
- 社長が細部まで口を出し続ける
- トップの意思が“号令”としてしか現場に伝わらない
- 現場の不満や違和感が、上に届かない
- 管理職が「板挟み要員」になり、疲弊する
その結果、判断は遅れ、責任は曖昧になり、組織は指示待ち化していきます。
ミドルがいない組織は、神経の通っていない身体のようなものです。筋肉(現場)も、脳(トップ)もあるのに、うまく動かない。
ミドルの本当の役割と価値とは何か
ミドルの役割は、単なる「管理」ではありません。
本質は、
- トップの意思を翻訳し
- 現場の知恵や感情を編集し
- 組織のズレを調整すること
ミドルとは、情報を伝える人ではなく、仕事に意味をつくる人です。ここで、例えとして私の家業になぞらえてみましょう。
杜氏というミドル
日本酒づくりにおいて、杜氏は極めて重要な存在です。
- 蔵元(トップ)の思想を理解している
- 同時に、麹・酵母・気温・蔵人それぞれの癖を熟知している
- 酒は、設計図どおりには仕上がらない
- 毎日、微妙な調整を重ねながら“場”を整えていく
杜氏は命令で酒を造りません。対話と観察と経験によって、発酵を導きます。
組織も同じです。
理念(DNA)を、 現場の経験や環境に合わせて“発酵”させる存在。それが、本来のミドルです。
これからのミドルは、どうあるべきか
これから求められるミドル像は、大きく変わります。
- 指示を出す人 → 問いを立てる人
- 管理する人 → 学習を促す人
- 正解を持つ人 → 対話を生む人
そして、社長側にも変化が求められます。
- すべてを把握しようとしない
- すべてを決めようとしない
- ミドルを「使う対象」と見ない
ミドルは、任せる存在ではありません。
共に成長する存在です。
人数の壁を越える鍵は「ミドル」にある
組織は、トップと現場だけでは進化しません。その間にいる存在が、温度と速度を決めます。
ミドルが育つ組織は、大きく変わったようには見えなくても、静かに、しかし確実に強くなっていきます。
人数の壁を越える鍵は、制度でも、戦略でもなく、「ミドル」をどう位置づけるかにあるのです。
まずは、自社のミドル(中間層)の役割を明確にし、位置づけを決めましょう。すべては経営者のビジョン次第です!
社長!本当に経営、できていますか?