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Column

2025.11.23

これからの中小企業が選ぶ組織デザイン

経営コンサルタントを名乗る実務のたたき上げ中年オヤジ(50歳)が、経営の原理原則を学ぶべくMBA(大学院)に通うことを決意し、日々の学びと気づきを不定期でつぶやきます。

この記事のポイント
  • MBA(経営学修士)での学びを手軽に追体験できます

第18回目のテーマは・・・中小企業が選ぶべき組織デザイン

前回のコラムでは組織論におけるマクロとミクロの基本構図を説明させて頂きました。今回は組織デザインの設計に関してお伝えしていきます。

第2回のテーマである「組織デザイン」は、マクロ視点の中心にある考え方です。 組織デザインとは、単に「組織図を描く」ことではありません。 それは、“会社がどのように意思決定し、どのように動くか”を決める設計図です。

そして、中小企業が成長する過程では、この設計図の選び方によって、

  • 情報が流れるか、詰まるのか
  • 人が育つか、疲弊するのか
  • 全社に一体感が生まれるか、バラバラになるのかが大きく変わります。

ここでは、中小企業に最も関係の深い3つの組織デザイン、
「職能型」「事業部型」「プロジェクト型」の特徴と使いどころを整理します。

3つの組織デザインの特徴と相性

①職能型組織(20名~50名企業に最適)

部署を専門機能で分ける最も一般的な形式です。

  • 営業、製造/サービス、管理、企画、総務などが典型。
職能型組織論

メリット:

  • 専門性が高まる
  • 業務標準化しやすい
  • 経営者が全体をコントロールしやすい

デメリット:

  • 部門間の壁が生まれる
  • ミドル含めた育成が遅れがち(属人化)

向いている会社規模:
創業期~50名規模で、事業が複数存在しない一本化している企業。

②事業部型組織(100名~で検討)

売上・利益責任を「事業単位」に持たせる構造。新規事業・多店舗・複数商品ラインがある企業で有効。

事業部制組織

メリット:

  • 事業のスピードと自律性が高まる
  • ミドルが育ちやすい(PL責任を持たせる経営)

デメリット:

  • ミドルの力量不足で崩壊するリスク
  • 全社最適より事業部最適に走りがち

向いている会社規模:
複数事業があり、部門長を経営者に近い位置に育てたい企業。

③プロジェクト型組織(規模に関係なく“探索活動”が必要な会社)

既存事業とは別に、横断的なテーマを扱うチームをつくる方式。

プロジェクト型組織

メリット:

  • 両利きの経営(深化と探索)が成立しやすい
  • 若手や専門性の高い人材が活躍できる

デメリット:

  • 評価や権限が曖昧になると空中分解
  • ミドル層の理解が必須

向いている会社規模:
新規事業開発・業務改善・DXなど、横断テーマが増えている企業。

間違えると崩壊する“事業部制”と、正しい選び

中小企業の現場で最も多い失敗が、「早すぎる事業部制の導入」です。 本来は、下記の条件で初めて機能します。

  • ミドルに意思決定力がある
  • 部門間の連携が取れる
  • 管理体制、教育体制が整う
  • 経営者が権限を手放せる

これらが不十分な状態で導入すると、下記のような典型的な崩壊パターンに陥ります。

  • 事業部長が経営者の“伝言係”になる
  • 数字だけ追って現場が疲弊する
  • 評価制度だけが先行して組織が混乱する

まとめ

つまり組織デザインは、「企業規模」×「事業の複雑性」×「ミドル層(人材)の育成度」で選ぶべきものです。

次回は、この組織デザインを支える“階層構造とミドルの役割(ミドル問題)”を扱い、なぜ30名を超えると組織が難しくなるのかを考えたいと思います。

まずは、自社のこれまでの組織デザインの変遷を振り返り、将来どのような組織を イメージすることが重要です。組織のデザインを書き出してみてはいかがでしょうか。 社長!本当に経営、できていますか?

この記事を執筆したのはです
栃倉 恒敬 (Tsunetaka Tochikura)
(株)横浜総合マネジメント
代表取締役
上級経営会計専門家
大学卒業後、大手食品会社にて製造から物流、企画、営業までを経験。28歳で財務会計知識の習得を目指し泉会計事務所(税理士法人横浜総合事務所)に入社。2008年㈱横浜総合マネジメントを社内起業にて設立。中小企業の成長、発展を支援するため経営計画の立案、運用を中心とする経営コンサルティング(未来会計)に従事し、2021年より代表取締役に就任。 新規事業立ち上げと、実家の家業を自ら事業承継したリアルな経験を活かし、お客様に寄り添う伴走型のコンサルティグを得意としています。 県内の同業と連携する(株)未来会計コンサルティングの役員など、顧問先の外部CFOも歴任。
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